個人事業主・フリーランスは投資より節税優先である理由

2021年12月11日節税,貯金

個人事業主(フリーランス)歴が来年で7年目になる所長です。

(以下「個人事業主」= フリーランス)

国がオススメするフリーランス節税商品おさらい

フリーランスにとっての節税枠というのは以下の表のことです。

商品名最低掛金/月最高掛金/月掛金上限
小規模事業共済1,000円70,000円
経営セーフティ共済5,000円200,000円8,000,000円
iDeCo(個人型確定拠出年金)5,000円68,000円
(国民年金基金と合算して)
国民年金基金10,000円~
(人による)
68,000円
(iDeCoと合算して)
フリーランス節税商品と条件

小規模事業共済とiDeCo、国民年金基金は所得税控除の対象です。

所得税控除の場合、所得税・住民税を下げる効果はありますが、国民健康保険料を下げる効果はありません

経営セーフティ共済は、事業経費扱いになるため、国民健康保険料と所得税・住民税のすべてを下げる効果があります。

しかし、経営セーフティ共済の条件は掛金総額が800万円まで、解約時の償還は全額売上扱いになります。

そのため、経営セーフティ共済は出口戦略を考えておく必要があります

小規模事業共済の償還は全額退職金扱いになり、税制優遇が受けられお得です。

投資 VS 節税

フリーランスにとって最大限恐れなくてはならないのは、税金です。

しかしインターネット上の情報を見て回っていると、「フリーランスに独立して、資産を増やすために投資しましょう」という話をよく目にします

しかし蓄財する上では間違っているのではないかと、私は思います

フリーランスにとって最優先に考えるべきことは「節税」です。

ここで言う税金とは、所得税の他に住民税・国民健康保険料を含みます。

投資より節税のほうが優先という理由

節税優先という理由は単純です。

よくFIREなど早期リタイヤでよく目にする「4%ルール」というものがあります。

この「4%ルール」というのは、世界経済の指標に投資していれば、平均して投資金額の4%が受け取れるため、年間4%ずつ切り崩せば元本が減らないという理論です。

しかし、4%ルールでの成功確率は95%らしいです。

3%ルールにするとほぼ100%成功するらしいですね。

しかし、日本で提供されている節税制度というのは、場合によっては「4%ルール」よりも遥かにお得ということを知らない人が多すぎます。

簡単に理解するために、所得税と住民税を使って節税と投資がどれほど差ができるか計算してみます。

以下が今回のモデルケース3件です。

課税所得所得税率所得税控除額所得税額住民税率住民税額
110万円5%0円55,000円10%110,000円
170万円5%0円85,000円10%170,000円
230万円10%97,500円132,500円10%230,000円
検証するモデルケース

今回の計算では、「小規模事業共済」を使って節税した場合のシミュレーションをします。

前提条件は以下の通り

  • 投資で得られる平均利息は、確実に得られる「3%」とします。
  • 小規模事業共済の利息は20年積み立てた場合予定利率は1%と言われていますので、1%で計算します。(小規模事業共済HPより)
  • 住民税の計算は一律所得の10%です。
  • 投資の元本は所得差額(手残り)から所得税と住民税の差額を支払った金額とします(課税所得-所得税差額-住民税差額)
  • 小規模事業共済の元本は所得税差額を払う必要が無いので課税所得差額全額を小規模事業共済の掛金とします。

課税所得110万円 VS 課税所得170万円

課税所得(万円)適応税率所得税控除額所得税額住民税率住民税所得割額
1105%0円55,000円10%110,000
1705%0円85,000円10%170,000
モデルケース

課税所得の差額: 60万円

所得税額の差額: 30,000円

住民税額の差額: 60,000円

20年間の金額を計算すると以下の通りです。

年目投資
元本(所得差額-支払税差額)+利息
小規模事業共済
元本(所得差額)+利息
差額 (投資-節税)
1¥525,300¥606,000-¥80,700
2¥1,066,359¥1,218,060-¥151,701
3¥1,623,650¥1,836,241-¥212,591
4¥2,197,659¥2,460,603-¥262,944
5¥2,788,889¥3,091,209-¥302,320
6¥3,397,856¥3,728,121-¥330,265
7¥4,025,091¥4,371,402-¥346,311
8¥4,671,144¥5,021,116-¥349,972
9¥5,336,578¥5,677,328-¥340,749
10¥6,021,976¥6,340,101-¥318,125
11¥6,727,935¥7,009,502-¥281,567
12¥7,455,073¥7,685,597-¥230,524
13¥8,204,025¥8,368,453-¥164,427
14¥8,975,446¥9,058,137-¥82,691
15¥9,770,009¥9,754,719¥15,291
16¥10,588,410¥10,458,266¥130,144
17¥11,431,362¥11,168,849¥262,513
18¥12,299,603¥11,886,537¥413,066
19¥13,193,891¥12,611,402¥582,489
20¥14,115,008¥13,343,516¥771,491
計算結果(表1)
表1をもとにしたグラフ

計算の結果、14年目までは節税のほうが有利ですが、15年目以降は投資のほうが有利という結果になりました。

所得税率が同一の場合、節税と投資では差額が小さいことがわかります。

余裕資金を節税に当てた場合でも所得税率が変わらない場合且つ、15年以上蓄財する場合は積立NISAなので投資するほうが有利という結果になりました。

14年以内に定年や引退を予定している場合は、節税による蓄財が有利となります。

課税所得170万円 VS 課税所得230万円

課税所得(万円)適応税率所得税控除額所得税額住民税率住民税
1705%0円85,000円10%170,000
23010%97,500円132,50010%230,000
モデルケース

課税所得の差額: 60万円

所得税額の差額: 47,500円

住民税額の差額: 60,000円

20年間の金額を計算すると以下の通りです。

年目投資
元本(所得差額-支払税差額)+利息
小規模事業共済
元本(所得差額)+利息
差額 (投資-節税)
1¥507,275¥606,000-¥98,725
2¥1,029,768¥1,218,060-¥188,292
3¥1,567,936¥1,836,241-¥268,304
4¥2,122,249¥2,460,603-¥338,354
5¥2,693,192¥3,091,209-¥398,017
6¥3,281,263¥3,728,121-¥446,859
7¥3,886,976¥4,371,402-¥484,427
8¥4,510,860¥5,021,116-¥510,257
9¥5,153,461¥5,677,328-¥523,867
10¥5,815,339¥6,340,101-¥524,761
11¥6,497,075¥7,009,502-¥512,427
12¥7,199,262¥7,685,597-¥486,335
13¥7,922,515¥8,368,453-¥445,938
14¥8,667,465¥9,058,137-¥390,672
15¥9,434,764¥9,754,719-¥319,955
16¥10,225,082¥10,458,266-¥233,184
17¥11,039,109¥11,168,849-¥129,739
18¥11,877,558¥11,886,537-¥8,979
19¥12,741,159¥12,611,402¥129,757
20¥13,630,669¥13,343,516¥287,153
計算結果(表2)

計算の結果、18年目までは節税のほうが有利ですが、19年目以降は投資のほうが有利という結果になりました。

所得税率を1つ下げることができれば、長い期間節税のほうが得ということがわかります。

15年以上の積立投資とほぼ同じ結果を確実にもたらすことができる「節税」は、とても良い投資ということになります。

フリーランスで生きていける実力者は節税が命

フリーランスで5年, 10年と一人で続けていけるのは、真の実力者です。

そんな真の実力者の報酬が所得税率5%で収まるような金額であるはずがありません

少なく見積もっても、家賃や車など様々なものを経費に計上してやっと200万円台という感じでしょうか。

この場合、節税によって195万円以下に収めることが課題となります。

投資ブームや株高に相まって節税による蓄財よりも投資を優先している人が目立ちます

投資が悪いとはいいません。

しかし節税によって所得税率を1つ下げることができれば、投資よりも安全で確実なリターンを手にすることができます

全国のフリーランスで独立して頑張っている皆さん、慎ましく、時には狡猾にこの荒波を乗り越えていきましょう。

まとめ

  • 所得税率を1つ下げることができれば、投資よりも節税で蓄財したほうが遥かに安全で確実なリターンを得ることができる
  • 14年以内に退職・引退する場合、節税のほうがリターンが大きい
  • 国民健康保険料の金額を抑えられるのは「経営セーフティ共済」だけ

節税,貯金

Posted by 所長